第1回特定行政書士法定研修の考査問題について


 

平成27年10月4日(日)14:00から16:00まで全国各地で第1回特定行政書士法定研修の考査が行われました。私自身は、広島市の広島県行政書士会が入っているビルの3階にある貸会議室で考査を受けました。特定行政書士法定研修の考査問題を検討して今後の対策を考えます。

1回特定行政書士法定研修の考査問題について

事前にアナウンスされていたのは、考査科目「行政法総論」「行政手続法」「行政不服審査法」「行政事件訴訟法」から20問、考査科目「要件事実論・事実認定論」「特定行政書士の倫理」から10問、計30問をマークシートによる四肢択一式問題とのことでした。蓋を開けてみると、考査科目「行政法総論」「行政手続法」「行政不服審査法」「行政事件訴訟法」から20問の内訳が、「行政手続法」8問、「行政不服審査法」8問、「行政事件訴訟法」4問の計20問。「行政法総論」からは出題はありませんでした。「行政手続法」「行政不服審査法」に重点をおいた出題配分となっていました。「要件事実論・事実認定論」「特定行政書士の倫理」から10問の内訳は各5問でした。

事前のアナウンス注意書きで、「上記科目に関する理解度を測るための考査であり、出題内容は、厳密に法定研修の講義口述内容に限定されるものではありません」との言葉どおり、法定研修講義内容とは違った角度からの出題も見られました。研修講義では、判例をもとに違法の場合を解説していたり、事例をとおして法令をあてはめ検討していくような事をやっていた気がしましたので、判例の知識を問うたり、事例を通して条文を理解しているか等の正誤問題を作ると思っておりましたが、行政法関連の20問の出題内容は、オーソドックスに条文の意味を理解しているか?否か?の問題ばかりでした。

「要件事実論・事実認定論」の5問は、民事訴訟法の用語を理解している必要のある問題でした。この5問は、講義を睡魔君との格闘に打ち勝ち、聞いていれば、答えられる程度の問題であったと思いますが、睡魔君との激闘の末、敗れた身の上なので確信を持って言えません。特定行政書士となって業務を遂行するには、「この程度の事知らないと恥ずかしいよ」というメッセージが感じられた5問でした。

「特定行政書士の倫理」の5問は、講義内容を理解していれば、答えられる内容だったと思います。講義では、事例を弁護士職務基本規定や行政書士法令を参考に、「良くない行動」を学びました。講師の先生が強く言っていたあたりが問題になっていたように思います。

考査問題の検討

◆問題1 肢1
地方公共団体の機関の行う行政指導については、法律に根拠を有するものに限り、行政手続法の規定が適用される。

※行手法3条3項より、地方公共団体の機関の行う行政指導には、行政手続法の規定を適用しない。行手法46条で、地方公共団体は行政指導の手続について、行手法の趣旨にのっとり、必要な措置を講じてね、と定められている。また行手法3条3項より、地方公共団体の機関の行う「申請に対する処分」「不利益処分」「処理する届出」のうち、法律・法律に基づく命令に根拠を有するものに限り、行政手続法の規定が適用される。「行政指導」「法律に根拠を有するものに限り」「適用する・しない」を掛け合わせた、どこかで見たような紛らわしい問題からスタートした。

◆問14 肢3
審査請求人及び参加人は、審理手続が終結するまでの間、処分庁が審査庁に提出した調書や証拠書類等の閲覧だけではなく、写しの交付を求めることができる。

※行審法の改正部分。旧法と異なり、閲覧だけでなく、写しの交付を求めることができる。新行審法が審理手続の充実を図るため新たに規定した部分が出題された。特定行政書士は、新行政不服審査法使って、違法・不当な処分をされて許認可等を拒否された申請者の審査請求を代理することが求められているので、行審法の改正部分から多く出題されたことは、想定の範囲内でした。

◆問25 肢3
認否がなされなかった事実は、証拠を提出して立証しなければ、その事実が認められることはない。

※「要件事実論・事実認定論」の5問。こんなん出ました。

◆問27 肢ア
不服申立手続の代理人となった特定行政書士は、たとえ依頼者の意思に反しても、専門家として依頼者にとって最善と考える対応をとるべきである。

※不服申立手続の帰趨に関する最終決定権は依頼者にあり、依頼者の意思を無視して独断で依頼者の利益を決めてはならない(法定研修テキストより)
参照:弁護士職務基本規定36条

 

2回以降の考査対策

第1回特定行政書士の考査ということで、誰もが出題傾向もわからず考査に臨んだわけですが、今後、自分も含めて特定行政書士の考査を受ける場合の対策を考えてみます。

  • 法定研修の講義内容を理解し、復習を怠らないこと。
    当然すぎの対策ですが、自分としては出来てなかったので反省しているところです。

 

  • 問題を作ると予想される先生の著作は読んでおく。
    特定行政書士の制度が始まるにあたって連合会中央研修所が出版した「行政書士のための行政法」の第2章行政手続法総論、第3章行政不服審査法総論を執筆し、法定研修では、第3講第4講行政手続法の論点、第17講第18講総まとめを担当した一橋大学の山田洋教授が、今回行政法関連20問を作成したと思われます。「行政書士のための行政法」の第2章行政手続法総論、第3章行政不服審査法総論で使われている文言・論点で考査問題が作られていました。問題を作ると予想される先生の文章を読んでおくことは考査対策になります。次回は、どの先生が作るかわかりませんが、法定研修で総まとめを担当する先生が問題を作りそうな気がします。「要件事実論・事実認定論」「特定行政書士の倫理」は、弁護士の先生が作ったと思われますが、どなたかわかりませんでした。

 

  • 民事訴訟法を前もって理解しておく
    民事訴訟法を全く理解していない自分としては、講義を聞いても不明なところがあったので、前もって民訴を理解しておく必要を感じました。

 

  • 弁護士職務基本規定の理解
    「特定行政書士の倫理」では、講義でも出題問題でも弁護士職務基本規定を意識して構成されていましたので、講義、テキストに載っている弁護士職務基本規定の内容は、十分理解する必要があります。

 

以上、特定行政書士として業務を遂行するには、相当腕を磨かなければならない事を肝に銘じて検討会を終わります。