新行政不服審査法第9条第4項を確認してみます


■新行政不服審査法第9条第4項を確認してみます

 

(審理員)
第九条

 前項に規定する場合において、審査庁は、必要があると認めるときは、その職員(第二項各号(第一項各号に掲げる機関の構成員にあっては、第一号を除く。)に掲げる者以外の者に限る。)に、前項において読み替えて適用する第三十一条第一項の規定による審査請求人若しくは第十三条第四項に規定する参加人の意見の陳述を聴かせ、前項において読み替えて適用する第三十四条の規定による参考人の陳述を聴かせ、同項において読み替えて適用する第三十五条第一項の規定による検証をさせ、前項において読み替えて適用する第三十六条の規定による第二十八条に規定する審理関係人に対する質問をさせ、又は同項において読み替えて適用する第三十七条第一項若しくは第二項の規定による意見の聴取を行わせることができる。

新行政不服審査法9条は、新設された重要登場人物である審理員についての規定と、例外として審査庁が審理員を指名しなくてよい場合とその場合の審査請求手続きについて定めている。
このページは、「新行政不服審査法第9条第3項を解説」の続きなので、そちらも確認していただければ良いかなと思います。
とりあえず、新行政不服審査法第9条第4項を確認してみます。
新行審法9条1項各号で、国家行政組織法第三条第二項に規定する委員会 や地方自治法第百三十八条の四第三項に規定する機関 などが審査庁である場合、審理員による審理手続きをせず審査庁が審理することになる。合議制の機関である委員会や審査会等の委員が集まって、「審査庁」として審査手続きをすることが合理的ではない手続きがあるから、審査庁が必要と認める時には審査庁の職員に審査手続きを行わせることが認められている。 職員が行うことができる審査手続きは、「口頭意見陳述」「参考人の陳述」「検証」「質問」「審理手続の申立てに関する意見の聴取」だそうです。

■職員(第二項各号(第一項各号に掲げる機関の構成員にあっては、第一号を除く。)に掲げる者以外の者に限る。)

9条2項
審査庁が前項の規定により指名する者は、次に掲げる者以外の者でなければならない。
 審査請求に係る処分若しくは当該処分に係る再調査の請求についての決定に関与した者又は審査請求に係る不作為に係る処分に関与し、若しくは関与することとなる者
 審査請求人
 審査請求人の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族
 審査請求人の代理人
 前二号に掲げる者であった者
 審査請求人の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人

(1)第二項各号に掲げる者以外の者

旧行審法では、審理手続きに関与する職員についての定めがなかったため、法律上、原処分に関与した職員や審査請求人の親族が、審理手続を行うことが排除されていなかった。新行審法では審査請求の公正さ・透明性を確保するため、審理員が審査請求人と密接な関係にある場合に審理への関与を排除する規定をおいた。
審理員のいない場合の審理手続でも、審理員制度の趣旨にのっとり、審査請求人と密接な関係にある職員の審理への関与を排除した。
条例に基づく処分について条例に特別の定めがある場合には、審査庁の職員に「口頭意見陳述」「参考人の陳述」「検証」「質問」「審理手続の申立てに関する意見の聴取」の審理手続を行わせることができることとした。審理手続を行う職員は、審理員の除斥事由と同様に審査請求に係る処分に関与した者や審査請求人の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族等であってはならないと規定されている。

(2)第一項各号に掲げる機関の構成員にあっては、第一号を除く

合議制の機関である審査会等が審査庁の場合は、事務局の職員や専門委員に、「口頭意見陳述」「参考人の陳述」「検証」「質問」「審理手続の申立てに関する意見の聴取」の審理手続を行わせることができるとしている。審査手続きをする事務局の職員等は、審理員とほとんど同様の除斥事由が定められているが、一つ違うのは、審査請求に係る処分等に関与した職員でも、審理手続を行ってもよいとされた。審査会等の事務局の職員等はたくさんいないので、審査会等が、処分庁であり審査庁でもある場合、処分等に関与した職員を外すと人がいないためと思われる。
ところで、新行審法9条1項各号に掲げる機関が、処分庁であり審査庁でもあるケースを知りたいと考えたりしましたが、「ゴホッ ゴホッ」体調が…「ゴホッ ゴホッ」あれなんで考えないこととします。

■審査庁が新行審法9条1項各号に掲げる機関場合や条例に基づく処分について条例に特別の定めがある場合の職員による審理手続

(1)口頭意見陳述

審査庁は、審査請求人又は参加人の申立てがあった場合、審査請求に係る事件に関する口頭意見陳述の機会を与えなければならないが、非常勤の委員を全員呼んで審査庁として、口頭意見陳述を聴くのは合理的ではないので、職員に聴かせることができるとした。

(2)参考人の陳述

審査請求人若しくは参加人は申立てにより、適当と認める者に知っている事実を審査庁に陳述してもらえるが、高給の非常勤の委員を全員呼んで審査庁を組織させ、みんなで適当と認める者の陳述を聴くことは合理的ではないので、職員に聴かせることができることとした。

(3)検証

審査庁は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、必要な場所につき、検証をすることができるが、忙しい非常勤の委員を全員呼んで審査庁を組織させ、ゾロゾロ必要な場所を検証するのは合理的ではないので、職員に検証させることができることとした。

(4)審理関係人への質問

審査庁は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審査請求に係る事件に関し、審理関係人に質問することができるが、お忙しくて高給取りの非常勤の委員を全員呼んで審査庁を組織させ、みんなで審理関係人に質問することは合理的ではないので、職員に質問させることができることとした。

(5)審理手続の申立てに関する意見の聴取

審査庁は、審査請求に係る事件について審理手続を計画的に遂行する必要があると認める場合には、期日及び場所を指定して、審理関係人を招集し、あらかじめ、これらの審理手続の申立てに関する意見の聴取を行うことができるとし、この意見聴取は、審理関係人が遠隔の地に居住している等の場合、電話でもできることとされている。あっちこっちに住んでいる非常勤の委員を全員呼んで審査庁を組織させ、みんなで審理関係人に意見の聴取したり、電話かけたりすることは合理的ではないので、職員に審理手続の申立てに関する意見の聴取させることができることとした。

(6)自治体の長の場合

条例に基づく処分について条例に特別の定めがある場合の審査庁は、寝る暇もないほど忙しいの知事や市長達だと考えられるので、新行審法9条1項各号に掲げる機関が審査庁の場合と同様、上記(1)~(5)の審査手続を職員に行わせることができると規定したと思われる。

■まとめ

審理員を置かなくてもいい場合でも、新行審法で新設された審理員制度の趣旨に則り、審理手続きを進めるための規定。忙しい審査庁を補佐する職員に仕事をしてもらう規定。改正行政不服審査法の趣旨に則り、公正・透明な審理手続きを行ってもらいたいものです。

おわり