任意後見契約公正証書(将来型)の雛形と補足説明


 

行政書士おち事務所使用の任意後見契約公正証書(将来型)の雛形です。

個別の相談者の方の状況に対応してカスタマイズして使います。

いくつかの任意後見契約公正証書の雛形を参考に作らせてもらいました。(感謝)

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今回の設定として、委任者は、一人暮らしの父親、70代後半。受任者は、実家から遠くはない所に住み、仕事もしている実の娘50代前半。もちろん架空の設定です。

■任意後見契約公正証書(将来型)の雛形■

本公証人は、委任者山田五郎(以下「甲」という。)及び受任者川田桜子(以下「乙」という。)の嘱託により、次の法律行為に関する陳述の趣旨を録取し、この公正証書を作成する。

第1条(契約の趣旨)
甲は、乙に対し、平成28年4月1日、任意後見契約に関する法律に基づき、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における甲の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務(以下、「後見事務」という。)を委任し、乙は、これを受任する。
※第1条は、定型。

第2条(見守り義務)
乙は、前条の任意後見契約(以下「本任意後見契約」という。)がその効力を生じたか否かにかかわらず、適宜電話で甲の安否を確認し、甲と面接し、ヘルパーその他の日常生活援助者から甲の生活状況につき報告を求め、主治医その他医療関係者から甲の心身の状態について説明を受けることなどにより、甲の生活状況及び健康状態の把握に努め、甲につき任意後見監督人選任の申立てをすべきかいなかを常に考慮し、判断しなければならない。
※適切な時期に任意後見契約を発効する必要があり、同居していない親族が、本人の状態を把握するため、見守り義務を記載している。

第3条(契約の発効)
1 本任意後見契約は、任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる。
2 本任意後見契約締結後、甲が精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況になり、乙が本任意後見契約による後見事務を行うことを相当と認めたときは、乙は、家庭裁判所に対し任意後見監督人の選任の申立をする。
3 本任意後見契約の効力発生後における甲と乙との法律関係については、任意後見契約に関する法律及び本契約に定めるもののほか、民法の規定に従う。
※第2項で、本人の認知症の症状が進んでいるにもかかわらず、任意後見監督人選任申立が行われていないとの実務上の問題があるため、受任者に選任申立義務を課すため「選任の申立をしなければならない」と記載するように指導する専門職後見人団体が多いですが、今回は、受任者が実の娘であるため、「選任の申立をする」にしました。

第4条(後見事務の範囲)
甲は、乙に対し、別紙「代理権目録(任意後見契約)」記載の後見事務(以下「本件後見事務」という。)を委任し、その事務処理のための代理権を付与する。

第5条(証書等の引渡し及び使用)
1 乙は、本件後見事務を行うに当たって、次の証書等及びこれらに準ずるものの引渡しを受けることが必要であると判断したときは、甲に対し、その引渡しを請求し、甲は、これに応じるものとする。

(1)登記済権利証
(2)実印・銀行印
(3)印鑑登録カード・マイナンバーカード
(4)預貯金通帳
(5)各種キャッシュカード
(6)有価証券・その預り証
(7)年金関係書類
(8)土地・建物賃貸借契約書等の重要な契約書類

2 乙は、甲から前の証書等の引渡しを受けたときは、その明細を記載した預り証を作成して甲に交付する。
3 乙は、本任意後見契約の効力発生後、甲以外の者が第1項記載の証書等を占有所持しているときは、その者からこれらの証書等の引渡しを受けて、自らこれを保管することができる。
4 乙は、本件後見事務を処理するために必要な範囲で、前記の証書等を使用するほか、甲宛の郵便物その他の通信を受領し、本件後見事務に関連すると思われるものを開封することができる。

第6条(ライフプラン)
乙は、本件後見事務を遂行するに当たっては、甲の作成にかかる別紙「ライフプラン」を甲の意思を示すものとして尊重し、その内容に沿った介護、福祉、医療その他のサービスを実現するように努めるものとする。ただし、このライフプランは、別紙「代理権目録(任意後見)」に記載した乙の代理権に制限を加えるものではない。また、乙がこのライフラインに沿って本件後見事務を行うことが甲の利益にとって適切ではないと判断したときは、ライフプランの趣旨を考慮し、より適切な本件後見事務を行うものとする。

第7条(任意後見監督人の同意を要する事項)
乙は、甲所有の不動産につき、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、任意後見監督人の書面による同意を得なければならない。
※民法上、成年被後見人・被保佐人・被補助人の居住用不動産の処分するには、家庭裁判所の許可を得なければなりませんが、任意後見法上、同様の規定はありません。任意後見人の権限濫用を防ぐため、本人所有の不動産の処分につき、任意後見監督人の同意を必要とすることを規定しました。

第8条(費用の負担)
1 乙が本件後見事務を行うために必要な費用は、甲の負担とし、乙は、その管理する甲の財産からこれを支出するものとする。
2 任意後見監督人選任の審判に要する費用は甲の負担とし、乙が立替支出したときは、乙は、任意後見監督人選任後に、その管理する甲の財産の中からその支弁を受けることができる。

第9条(報酬)
1 乙の本件後見事務処理は、無報酬とする。
2 本件後見事務処理を無報酬とすることが、次の事由により不相当となったときは、甲と乙は、任意後見監督人と協議のうえ、報酬を定めることができる。

(1)甲の生活状況又は健康状況の変化
(2)経済情勢の変動
(3)その他本件後見事務処理を無報酬とすることを不相当とする特段の事情の発生

3 前項の場合において、甲がその意思を表示することができない状況にあるときは、乙は、任意後見監督人の書面による同意を得てこれを変更することができる。
4 第2項の変更契約は、公正証書によってしなければならない。
※今回は、親族(実の娘)であるため、無報酬。

第10条(報告)
1 乙は、任意後見監督人に対し、6か月(任意後見監督人がこれより短い期間を定めたときは、その期間)ごとに、本件後見事務に関する次の事項について書面で報告する。

(1)乙の管理する甲の財産の管理状況
(2)甲を代理して取得した財産の内容、取得の時期・理由・相手方及び甲を代理して処分した財産の内容、処分の時期・理由・相手方
(3)甲を代理して受領した金銭及び支払った金銭の状況
(4)甲の身上監護につき行った措置
(5)費用の支出及び支出した時期・理由・相手方
(6)報酬の定めがある場合の報酬の収受

2 乙は、甲又は任意後見監督人の請求があるときは、いつでも速やかにその求められた事項につき報告する。
3 乙は、前2項の報告について資料を求められたときは、これを提示しなければならない。

第11条(契約の解除)
1 甲又は乙は、任意後見監督人が選任されるまでの間は、いつでも公証人の認証を受けた書面によって、本任意後見契約を解除することができる。
2 甲又は乙は、任意後見監督人が選任された後は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、本任意後見契約を解除することができる。
※任意後見法第9条の確認規定。

第12条(契約の終了)
1 本任意後見契約は、次の場合に終了する。

(1)甲又は乙が死亡し又は破産手続開始決定を受けたとき
(2)乙が法定後見(後見・保佐・補助)開始の審判を受けたとき
(3)乙が任意後見人を解任されたとき
(4)甲が任意後見監督人選任後に法定後見(後見・保佐・補助)開始の審判を受けたとき
(5)本任意後見契約が解除されたとき

2 任意後見監督人が選任された後に前項各号の事由が生じた場合、甲又は乙は、速やかにその旨を任意後見監督人に通知し、任意後見契約の終了の登記を申請しなければならない。
※任意後見人が、保佐または補助開始の審判を受けたとしても、民法上は終了事由にあたりません。今回は、任意後見人が保佐または補助開始の審判を受けた場合、契約終了事由としました。

第13条(守秘義務)
乙は、本件後見事務に関して知り得た秘密を、正当な理由なく第三者にもらしてはならない。

 

これ

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